2011/08/05

これからのテクノロジー業界で日本がどうすべきか

ぼんやりと今後のテクノロジー業界の展望でも考えてみようかなと思いまして、少し頭の中でまとまったことでも書こうかと思います。根拠があるものも無いものもあるので、ご参考まで。

<半導体業界>
日本の半導体業界は徐々にファブレス化していくんじゃないかと思います。つまり設計は日本でやるけど製造は海外でやるってことです。特に今回の地震の影響でマイコンの製造を止めてしまったのが、より流れを速めることになりそう。いままでは「ものつくりニッポン」という古くからの看板があったため、意地になって半導体工場を造っていましたが、製造コストはアジアに絶対勝てず且つ地震の心配があるとなると、日本製の半導体をベースとした商品はメーカーも安心できないですよね。でも、日本はまだ世界有数の研究開発能力があるので、ファブレス化して更に特許をきちんと抑えてライセンス料をいただくという方針でいいんじゃないかなと。今ある半導体工場は、試作ラインとして活用すればいいんじゃないかなと。次世代プロセスを立ち上げるほどの資金力ももはやないし、意地の張り合いはこのくらいにしておけばいいと思います。勝ち負けとかじゃなく、時代に合わせて得意なことで勝負すればいいというだけです。

<ディスプレイ(テレビ)業界>
日立やソニーもディスプレイの製造はやめるので、こちらもパネルはアジアから買ってきてブランドをくっつけて売るという商売になっていくことでしょう。この辞め方は「地デジまでがんばろう」って気がみえみえで、本当に日本の市場でしか勝負してなかったんだなと思い知らされてがっくりきました。新興国の需要だって今後伸びていくはずなのに、日本の地デジ化が完了したからやめまーすというのは、あまりに戦略に欠けると思う。テレビメーカーで残るのは、ソニーとシャープくらいでしょう。この変は世界的なブランドとして認められているから、新興国でのマーケティングをしっかりとやっていけばこれから挽回のチャンスはある。でも、これからはウェブ配信が発展していくので録画機能が今ひとつ意味をもたなくなるかもしれない。テレビにどういった付加価値をつけていくかが見所です。パナソニックのPDP(プラズマディスプレイ)は大型有機ELテレビがでたら、うっすらと消えていくでしょう。消費電力で有機ELに対抗できる技術が確立すれば、可能性はあるけど多分無理だな。きっとSamsungあたりが最初に有機ELテレビだしてくるんじゃなかろうか。日本には進出していないけど、世界ではバカ勝ちなので、日本メーカーが弱ってきたころに再上陸するんじゃないかなー、という予想。

<モバイル業界>
多分モバイル機器が、一般家庭のPCの代わりとして存在感をもってくるんじゃないかなと。もうすでになってるとは思いますけどね。自宅のパソコンが未だに「Windows98」だと言う人も、携帯は最新のスマートフォン使ってたりしますからね。今はスマートフォンはパソコンを親機とした子機のような存在ですが、クラウド化が進めばパソコンに依存する必要もなくなってくるので、一般家庭のパソコン所有率ってのは減っていくのかもしれません。それでもまあ、大画面でウェブサーフィンしたりメール書きたいって人はいるし、PCのゲームもあったりするので、完全に無くなるわけではありませんが、いままでのような存在ではなくなってくるでしょう。それを思うとタブレットPCは「自宅でモバイル」するのに非常に適したデバイスなので、今は一部のマニアが買っている感じですが、一般家庭のネット端末としてこれからはぐぐっと伸びていくと思います。

あと、モバイル機器は今は液晶パネルが主流ですが、有機ELにどんどん置き換わっていくと思います。有機ELによってより薄型で軽量にできるし、消費電力も低くなるので、軽くて長持ちな製品がでてくることでしょう。Samsungはモバイル機器では、すでに一部のハイエンドモデルでアクティブマトリックス式の有機ELパネルを使った商品をリリースしてきてますね。量産技術がもっと進めば、有機EL主体になっていくでしょうね。

<じゃあ日本はどうすべきか>
いままでの「ものつくり」路線は捨てて、研究開発を主体とした特許によるライセンス料で儲ける仕組みを作っていくしかないと思います。もはやハイテク分野では製造に関してはアジアに勝てません。以前のアメリカは日本に製造業で勝てないとみるや、巧みにインターネット産業にシフトして、未だ経済ではトップです。日本も時代の流れをきっちり受け止めて、無理なものつくりでの勝負をやめるべきだと思います。そうなると雇用が減っていくのは目に見えていますが、労働者も時代の流れに合わせて進化していかないといけません。なんだったら「海外の工場へ出稼ぎにいく」くらいの気持ちが必要です。Made in Japanにこだわる人もいますが、実は今Made in Japanってあんまり見なくなってますよね。それだけ製造拠点が海外に移っているってことです。コストの高い日本で無理に作る必要はなくて、日本の技術をのせて海外で作ればそれもひとつの「ものつくり」なんじゃなかろうかと。ここで「勝った負けた」にこだわってると、本当におだぶつすることになってしまう。

<じゃあ日本人はどうすべきか>
やっぱり英語か中国語勉強することですかね。そうやって、アジアとやりとりできる体勢を個人レベルで準備していかないと、企業に依存するいままでの生き方だところっとやられそうです。あとは、世界に求められる研究をすることですね。それも学術よりではなく、産業よりのきっちりと特許でライセンス料とれるような研究をするのが大事。それをやるには、やっぱり教育を変えていかないとダメですね。バイトとサークルと合コンに明け暮れているようなやつが大学卒業できる、っていう形だけの高等教育はやめた方がいい。格差は生まれるが、できるやつが日本の産業を引っ張って儲ける時期なのでしょう。また一時代過ぎれば、ゆったり年功序列・終身雇用の世の中に戻ってくるのかもしれないけどね。

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<追伸>
この前甥の誕生日にニンテンドー3DSを買ってあげた矢先の値下げに驚きました。まあ、人にあげたものなので特に後悔の思いはありませんが、1万円はでかい。その1万円で、ソフト3個くらい付けてあげられたのになぁ、とは思う。でも、高い値段で購入した人にはゲーム無料配信するってことなので、まあ買ってあげた値段分くらいは遊べるんじゃなかろうかと。ゲーム産業ってホントどう転ぶかわからんなぁ。