「アメリカの大学院で成功する方法」を読んでみました。Amazonのレビューを見ると賛否両論ありますが、アメリカで博士号を取得する「ある一面」を非常にわかりやすく解説してくれる本だと思います。海外留学を検討している人は、参考に値する本であると思います。でも、これ一冊では語り切れていない部分も多々あるので、その辺はご注意。
「ある一面」としているのは、この著者の専攻がアメリカ文学だったりするので、理系とはちょっと勝手が違うような気がしたからです。しかし、文系だったら大抵こんなもんなんじゃなかろうか。内容としては一面的な部分もありますが、「博士号への挑み方」や「アメリカでの生活の心構え」だとかは、実体験に基づくものなので結構参考になったりすると思います。オールラウンドな留学 How to 本ではないですね。
僕は大学院ではなく、学士号での留学だったので、それもまた勝手が違うのかもしれませんが、共通して言えることは「周りの人々と協力せよ」ということです。留学って何かと孤独になりがちです。それは言語の問題だったり、学校生活の問題だったりもするんですが、そういう孤独を抱え込んでもよいことはありません。言語からくる劣等感で、どうしても口数が減ってしまうのはしょうがないことですが、大学にはそういう人がなんとかできるような「駆け込み寺」がいくつもあるのです。文章を添削してくれるライティングセンターがあったり、教授に質問しに行くと懇切丁寧に教えてくれたりもします。これらの施設の有用性は後から気づいたりするんですが、本で説明してくれてるのはありがたいかも。
こういう施設を使うのは、最初いくばくかのためらいはあるかと思いますが、思い切って飛び込んで、英語ができずに億劫がられても「そんなものか」くらいで済ませることができる心の太さは重要です。この本の著者も、その辺を協調してますね。そういう「心構え」をわかりやすく説明してくれているという点では、この本は非常に評価できると思います。なかなか形にしにくいものでもありますからねぇ、「心構え」は。僕もこの本を事前に読んで留学してたら、もう少し楽に大学生活送れたかもなぁ、と思います。
僕の場合は、いくつもの偶然と試行錯誤と生命力でなんとか生き延びましたが、生命力に自信の無い人でも、この本の知識を片隅に入れておけば十分留学を乗り切れると思います。もし、周囲に留学を志す方がいたら、先ずこれを読んでみることをお薦めしてみてはいかがでしょうか?留学って何なのか、をシミュレーションするにはもってこいの本だと思いますね。
<関連記事>
・ 東野圭吾「パラドックス13」が面白い
・ ファインマン物理学がわかりやすい
・ 「読書は1冊のノートにまとめなさい」を読んだ
<追伸>
最近は小説から新書へと読む本が移行しつつあります。一時期あんまり面白そうなトピックがなかったんですが、最近は結構興味をそそるタイトルが多いですね。新書のいいところは、現在の社会的トピックの概要が書いてあるところです。詳細は専門書とかを読まないとわからないんですが、全体的な内容を理解するのは新書が一番てっとり早いです。ちゃんとした人が(ちゃんとしてない人もいるが)、ちゃんとリサーチして、プロの編集者が編集してますからね。情報源としてはよい媒体だと思ってます。でも、あんまり信じすぎないのも大事ですね。同時期に似たようなトピックの本が何冊も現れると思うので、最低3冊くらい読んだ上で、自分なりの考察をまとめて、内容を吸収していく方がよいと思います。読む本がなかったら、新書コーナーにふらっと行って、面白そうなタイトルを手にとってみると、そこから新たな世界が開けることがある。開けない時もありますが、そこは数を打つしかないですねぇ。