2009/06/26

「空の中」はよく考えられた小説だ

有川浩さんの著作「空の中」を読みました。「海の底」とは全く別物のお話ですが、今度は航空自衛隊が舞台になってます。すごくよく練り込まれた展開であると共に、個々の人物像がよく描かれてて、中身の濃い小説でした。お薦めです。
空の中 (角川文庫)

高度二万メートルにおける謎の航空事故と、その真相、そして真相がわかってからの知的なやりとり、の全てがよく考えられて書かれています。荒唐無稽なものにも理屈付けが行われていて、「なるほどな、まああるかもな」と感じさせます。いやぁ、よく考えるよねぇ、こんなシナリオ。ハリウッドとかで映画化されて欲しい。日本映画だと、陳腐なものになりそうで怖い。

また、主題とは別に二組の男女の恋物語も描かれているんですが、これも純粋ですごくいい。後日談は巻末に収録されているのと、短編がでているようです。物語が終わって、その先が知りたくなる小説ってのも珍しいと思います。「海の底」でも思いましたが、こういう純粋な感じの気持を描くのがとてもうまい。自衛隊という大義名分を背負った組織の人たちが絡むということもあって、この純粋さも自然とありうると感じました。

大きな使命感とか、そういう大義名分ではなく、自分の周りにいる人たちの為に何かしたい、と思わせる一冊です。続編も是非読みたい。有川浩さんの著作は、最近になって初めて読んだんですが、どれも評価が高く、結構人気みたいですね。いろんなシリーズを書いているみたいなので、これからちょくちょく手を出していきたいと思います。

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<追伸>
ここ最近は、送別会ラッシュで大変です。外部社員の方が、かなりの人数で旅立っていきます。みんなこの先の宛があったりなかったり。こういうのを目の当たりにすると、今は大変な時代なんだなぁ、と実感してしまいます。僕は恵まれている方なんだと思いますね。あー、職があってよかった、力を蓄えておいてよかった。