2009/06/15

「金のゆりかご」はどんでん返しのどんでん返し

最近ハイペースで小説を読んでます。本屋さんで衝動買いした「金のゆりかご」が思いのほか面白かったです。
金のゆりかご (集英社文庫)

天才を意図的に作ろうとする教授の思想と、生みだされた天才達の生き方を描いたヒューマンストーリーという感じです。ミステリーの要素も含んでますが、それはあまり本質ではなくて、天才と呼ばれて育った子供達の苦悩や、大人達の葛藤なんかが巧みに描写されています。終盤の展開は、どんでん返しのどんでん返しのどんでん返しみたいな感じで、目まぐるしく状況が変わっていってハラハラさせられます。最後まで飽きさせない、素晴らしいエンターティメントだと思いました。

作中で、天才と秀才の違いというのが、明確に定義されています。数学だけに限って言うと、「天才は初めて見た問題でも自ら解への方向性を紡ぎ出すことができるが、秀才は一度解いた問題の解き方を暗記しているだけで、そのようなインスピレーションは持って無い」という風に説明してたと思います。確かにそうなのかもしれない。僕の周りにも、頭のいい人はいましたが、大半は「秀才」だったのかもしれません。今のところ、天性の何かを感じさせるような、真の天才には合ったことがないですねぇ。

でも、能力っていうのはやはり努力無くしては成り立たないようなきがします。アインシュタインは人とは違う視点で物事を見ることができたのかもしれません。しかし、彼が作り上げた相対性理論は、アインシュタインがいろいろな知識を吸収して、抱えている問題に一心不乱で取り組んだ結果なのだと思います。才能を持っていて、且つその才能を開花させることのできる人が、真の「天才」なのかもしれませんね。

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<追伸>
最近リリースされた文庫は、結構面白いものが多いですね。それなりに賞とか取った本じゃないと、文庫になってリリースされないので、面白くてあたりまえっちゃーあたりまえか。この前がっぽり文庫を仕入れてきたので、てきぱき読んでいきたいと思います。今は「海の底」を読んでるので、読み終えたらまた感想でも書こうかな。