2009/06/18

「海の底」は底知れぬ恋愛小説だ

「海の底」を読み終わりました。ストーリーの本筋もさることながら、純粋でほのかなラブストーリーの複線がよかった。
海の底 (角川文庫)

物語の本筋としては、巨大化した多数のエビが横須賀を襲うというものです。これだけ聞くと陳腐な感じがしますが、そういう未知なる生物が現れた時に、自衛隊がどう動くか警察がどう動くか、という部分を詳細にシミュレーションしています。巨大エビの謎もちゃんとした理屈(実際には起こらないと思うが)に基づいています。現実離れしてる部分は巨大エビだけで、その他の部分のリアリティーとのギャップがすごい。

横須賀の米軍基地のお祭りで、巨大エビに襲われた子供達が自衛官と一緒に潜水艦へ退避するんですが、潜水艦の中での出来事も妙に生々しくていい感じでした。そして、淡く純粋な恋物語が、本筋以上の力を発揮している。最後の最後とか、読みながらほほえんでしまった。いやぁ、いい話だよ、これ。

いろんな自衛隊関連の本にも書いてありますが、自衛隊は優秀なのに、それを動かすお偉方のしがらみによって、自衛隊が非常に窮屈な思いをしている様がありありと描かれています。自衛隊発動の主権が誰か一人に委ねられているわけではなく、国会審議によって出動を決めているようです。救助活動も、そのようなプロセスを踏まなければいけない為、非常に出動までの時間がかかることになります。災害時の救出活動の判断は、もっと速くして欲しい物だ。それで助かる命もあるだろうに。

でも、巨大エビが突然うじゃうじゃ現れたら、そりゃ判断も鈍るかもね。

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<追伸>
最近久しぶりに親孝行してみました。去年の誕生日と父の日と母の日等、いろいろ含めて「ブルーレイ付きのAQUOS 37インチ」をあげました。自分で使わないものは、意外と簡単に買うんですけどね。Amazonで買ったら、2日後には到着してたようです。世の中便利になったもんだよ。これだけでかい買い物すると、多少の買い物にはびびらなくなりますね。この勢いで、ソニーのウォークマン買ってしまおうかな。